オートレースの売り上げ推移と現在の状況

オートレースは時代の流れとともに売り上げが大きく変化してきました。ここでは、直近の動向や長期的な変遷、そして他の公営ギャンブルとの比較について解説します。
直近数年のオートレース売り上げ動向
近年のオートレース売り上げは堅調に推移しています。とくに2020年以降は、新型コロナウイルスの影響で自宅にいる時間が増えたことにより、オンライン投票の利用が広がりました。その結果、現地観戦の制限がある中でも売り上げが回復し、一部の年では増加傾向を見せています。
たとえば2021年度は、全国のオートレース場で売り上げが合計約1,500億円を記録しました。2022年度も引き続き高い数字を維持しており、コロナ禍以前と比べても安定した状況です。このように、オートレースは厳しい状況の中でも新たなファン層の開拓につながる動きが進んでいます。
バブル期から現在までの売り上げ変遷
バブル期はオートレースの黄金時代と呼ばれ、売り上げはピークを記録しました。1991年頃には年間3,000億円を超えることもあり、多くのファンで賑わいました。しかし景気の後退やレジャーの多様化により1990年代後半から売り上げは減少傾向となりました。
2000年代にはさらに売り上げが落ち込み、存続が懸念される場も出てきました。しかし近年はネット投票の普及や新しいレース形式の登場で徐々に回復しています。バブル期から半減した水準にとどまっているものの、新しい施策により安定した売り上げを維持しているのが現状です。
他の公営ギャンブルと比較した売り上げ規模
オートレースの売り上げ規模は、他の公営ギャンブルと比べると中間程度に位置します。たとえば2022年の年間売り上げを比較すると、競馬(約3兆円)、競艇(約2兆円)よりは規模が小さいですが、地方競馬や競輪と同じくらいの水準です。
主な公営ギャンブルの売り上げ比較は以下の表の通りです。
種目 | 年間売り上げ(2022年目安) | 特徴 |
---|---|---|
競馬 | 約3兆円 | 圧倒的な市場規模 |
競艇 | 約2兆円 | 急成長中 |
オートレース | 約1,500億円 | 安定推移 |
このようにオートレースは大きな規模ではないものの、安定して一定のファンに支持されています。
オートレース売り上げ増加の要因

近年、オートレースの売り上げが回復傾向にある背景には、さまざまな新しい取り組みやシステムの導入があります。ここでは、主要な増加要因について解説します。
ミッドナイトレースや新しい取り組みの効果
ミッドナイトレースは、夜間に開催されるオートレースで、仕事帰りの社会人など、日中に時間が取れない層にも親しまれるようになりました。2010年代後半から本格導入されたこの取り組みは、ネット投票との相性もよく、売り上げ増加に大きく寄与しています。
また、ライブ配信やインターネット実況、若手選手の積極的なプロモーションなども行われています。これにより、従来のコアなファンだけでなく、新規ファンを呼び込むことに成功しています。新しい取り組みが続々と導入され、ファン層の幅が広がったことが売り上げの底上げにつながっています。
オンライン投票の普及による影響
オンライン投票の普及は、オートレースの売り上げを大きく押し上げる要因のひとつです。スマートフォンやパソコンから手軽に投票ができるようになったことで、現地まで足を運べない人々も気軽に参加できるようになりました。
また、公式サイトやアプリではレース情報や予想記事、動画配信なども充実しています。これにより、ファンは情報を集めやすくなり、より深くオートレースに関わることができています。現地観戦が難しい状況でも売り上げを維持・向上できるのは、このオンライン投票の普及による影響が大きいです。
スター選手や話題イベントの集客力
スター選手の活躍や話題性のあるイベントも、オートレースの売り上げに大きく貢献しています。人気選手が出場するレースや記念大会などでは、普段以上に多くのファンが注目し、投票額も増加します。
たとえば、全国的に知名度の高い選手や女性選手が活躍することで、SNSなどを通じて話題となり、新たなファン層が増えています。また、ファン感謝イベントや限定グッズの配布など、レース以外の魅力も集客力アップにつながっています。このように、選手やイベントが売り上げを支える重要な役割を果たしています。
オートレース売り上げに関わる制度や特徴

オートレースの売り上げには、控除率やレース形式、ファン層など、制度的な特徴も大きく関係しています。それぞれの特徴がどのように売り上げに影響しているのかを見ていきましょう。
控除率の変遷と売り上げへの影響
控除率とは、売り上げのうち運営や自治体の資金となる割合を指します。オートレースではこの控除率が長年一定でしたが、時代の流れに合わせて見直しが行われてきました。控除率が高すぎると配当が減り、ファンの魅力が損なわれてしまうため、適切な水準が求められています。
近年は、他の公営ギャンブルと同様に控除率を調整し、ファンにとって魅力的な配当を維持する動きが進んでいます。控除率の見直しは新規参加者の増加や売り上げの安定化につながる重要なポイントといえるでしょう。
売り上げに直結するレースの種類と特徴
オートレースにはさまざまな種類のレースがありますが、売り上げへの影響が大きいのは「特別競走」や「記念大会」などです。これらは年間を通じて注目を集めやすく、多くのファンが投票に参加します。
また、ミッドナイトレースやスーパースターフェスタなどの新しいレース形式も人気を集めています。違った時間帯や演出で開催されることで、従来のファンだけでなく新しい層にも魅力を広げ、売り上げアップにつながっています。
売り上げを支える主なファン層とその変化
これまでのオートレースは中高年男性を中心としたファン層が主流でした。しかし、最近では若年層や女性ファンの割合も徐々に増えています。これは、ネット投票の普及やスター選手の登場が影響していると考えられます。
ファン層の変化は売り上げにも大きな影響をもたらしています。新しいファン層の取り込みによって、今後も安定した売り上げが期待できるでしょう。従来からのファンに加え、多様な層が楽しめるイベントや企画が重要になっています。
今後のオートレース売り上げ拡大への課題と展望

オートレースの売り上げをさらに伸ばすためには、新しいファン層の開拓や地域振興、デジタル化への対応が欠かせません。今後の課題と展望について考えてみます。
若年層や女性ファンの獲得に向けた施策
若年層や女性ファンを増やすための取り組みは、今後の成長において重要なカギとなります。たとえば、カジュアルなイベントやSNSを活用した情報発信、著名人とのコラボ企画などがあります。これにより、オートレースの魅力を多くの人に知ってもらうことが期待されています。
また、初心者向けのガイドや体験イベントの充実も大切です。レースの仕組みや投票方法が分かりやすく紹介されることで、初めて参加する人でも楽しめるような環境が整っています。これらの施策が新規ファンの拡大につながるでしょう。
地方オートレース場の活性化策
地方のオートレース場は、地域経済への貢献とともに、売り上げ拡大のためにさまざまな工夫をしています。たとえば、地元食材を活かしたグルメイベントや、地域の観光資源と連携したキャンペーンなどを展開しています。
また、近隣住民向けの無料招待やファミリー向け企画の実施も増えています。これにより、地元の人々に親しまれ、リピーターの増加が期待されています。地方オートレース場の活性化は、全国的な売り上げ拡大にもつながる重要なポイントです。
売り上げ維持や向上のためのデジタル戦略
デジタル化の進展は、オートレースの売り上げ維持や向上に欠かせません。公式サイトやアプリの機能拡充、データ分析を活用したプロモーション、オンラインイベントの実施などが重要な戦略となっています。
たとえば、ライブ配信やリプレイ動画の提供、AIによるレース予想の導入など、デジタル技術を活用したサービスが広がっています。これにより、より多くのファンが気軽にオートレースを楽しめるようになり、新たな市場の開拓にもつながっています。
まとめ:オートレースの売り上げ動向と今後の可能性
オートレースの売り上げは、バブル期のピークからは減少したものの、近年は新しい取り組みにより安定した状況となっています。オンライン投票やミッドナイトレースの導入、スター選手の台頭などが売り上げ増加の要因となりました。
今後は、若年層や女性ファンの獲得、地方オートレース場の活性化、デジタル戦略の強化がさらなる拡大のカギとなります。多様なファン層に対応した施策を進めることで、オートレースはこれからも魅力あるエンターテインメントとして発展していく可能性を持っています。