競艇とボートレースの違いと基本知識

競艇とボートレースは同じ競技を指していますが、呼び方やイメージには違いがあります。ここでは、その違いと基本的な知識を解説します。
競艇とボートレースの呼び方の変遷
日本では長らく「競艇」と呼ばれてきたレースですが、近年では「ボートレース」という名称が主流となっています。これは競技への親しみやすさを高めたり、イメージを刷新したりするために行われたものです。
以前の「競艇」という言葉には、どこか堅い印象やギャンブル色が強いイメージがついていました。しかし、2000年代後半からは若い世代や女性ファンの増加を目指し、主催者が「ボートレース」という呼び方を積極的に使うようになりました。現在では公式ホームページやCMでも「ボートレース」という表現が定着しています。
競艇ならではのルールや特徴
競艇は6艇で水上を高速で競うレースで、独特のルールが定められています。たとえば、選手は同じ規格のモーターやボートを使用し、公平さが重視されています。
また、スタート方法が特徴的です。時計の合図で全艇が一斉にスタートラインを通過する「フライングスタート制」を採用しており、フライングや出遅れがあると失格や返還となることもあります。さらに、ターン技術やコース取りの巧みさが勝敗を大きく左右します。選手が直接ボートやモーターの整備を行う点も、競艇ならではの特徴です。
競艇と他の公営競技との違い
競艇は競馬、競輪、オートレースと並ぶ日本の4大公営競技の一つです。他の競技と比較すると、レースのスピード感や水上で繰り広げられる迫力が大きな魅力となっています。
また、出走する艇数が6艇と少ないため、着順予想の難易度がやや低めと感じる人もいます。一方、同じボートとモーターを使用するため、選手の技術や戦略がより重要視されることも特徴です。こうした違いが、競艇を他の公営競技と区別するポイントとなっています。
競艇のレースの仕組みと流れ

競艇のレースは独自の仕組みと流れがあります。ここではレースの事前準備から本番、そして舟券の買い方まで順を追って説明します。
レース前の展示航走と進入方法
レース前には「展示航走」と呼ばれる公開練習が行われます。これは出場選手が実際のボートで水面を走り、ファンや予想を立てる人々にコンディションやスタートのタイミングをアピールするためのものです。
進入方法にも注目が集まります。ボートは6艇それぞれに進入コースが割り当てられていますが、選手同士の駆け引きによって枠番通りに進入するとは限りません。選手たちは有利なコースを巡って、レース前から心理戦を繰り広げます。こうした事前の動きを観察することで、予想もより深く楽しむことができます。
レース本番の流れと勝敗の決まり方
競艇のレースはスタート合図とともに始まります。選手たちはスタートラインを狙い、タイミングよく通過することが求められます。ここでのフライングや出遅れは大きな減点や失格につながるため、集中力が試されます。
レースは通常3周(約1800メートル)で行われ、1着から3着までの順位で勝敗が決まります。ターンマークをいかに速く、そして安全に旋回できるかがポイントです。わずかな操作ミスでも大きく順位が変動するため、最後まで目が離せません。ゴール時の着順によって、舟券の的中も決まります。
競艇の舟券の種類と購入方法
競艇では様々な種類の舟券(投票券)を購入してレースを楽しむことができます。主な舟券の種類は以下の通りです。
- 単勝:1着になる艇を当てる
- 複勝:2着までに入る艇を当てる
- 2連単:1着と2着を着順通りに当てる
- 3連単:1着、2着、3着を順番通りに当てる
舟券はレース場の窓口だけでなく、インターネットや電話投票でも購入できます。特にネット投票は24時間対応しているため、忙しい方でも手軽に楽しむことができます。自分の予想に合わせて、さまざまな買い方を試すのも競艇の魅力の一つです。
競艇選手とその舞台裏

競艇選手は厳しいトレーニングや選考を経てレースに挑みます。ここでは、選手になるまでの道のりや舞台裏について詳しく紹介します。
競艇選手の養成とデビューまでの道のり
競艇選手になるには、まずボートレーサー養成所(旧名:競艇学校)での厳しい訓練を受ける必要があります。全国から志願者が集まり、筆記試験や体力テスト、面接などの選考を通過した人だけが入所できます。
養成所では、約1年間の寮生活を送りながら、ボートの操作技術や整備、レース戦略まで幅広く学びます。卒業時には最終試験があり、これに合格することで晴れて競艇選手としてデビューできます。デビュー後も、各地のレース場で経験を積みながら実力を磨いていきます。
階級や賞金ランキングと年収の実態
競艇選手は出場成績によって、A1、A2、B1、B2の4つの階級に分けられています。階級が上がるほど、出場できるレースのグレードや獲得賞金も増えていきます。
年収についてはトップクラスの選手になると数千万円以上に達することもあります。下記はおおよその目安です。
階級 | 平均年収 |
---|---|
A1 | 約2000万円以上 |
A2 | 約1000万円前後 |
B1/B2 | 約500万円前後 |
このように、実力や努力次第で大きな収入を得るチャンスがある点も、競艇選手という職業の特徴です。
男女混合で戦う競艇選手の特徴
競艇は男女が同じレースで戦う日本でも数少ないスポーツです。体格差が小さく、技術や戦略が結果を大きく左右するため、女性選手が男性選手に勝つことも珍しくありません。
多くの女性選手がトップレベルで活躍しており、ファンからの人気も高まっています。男女混合で競い合うことで、より幅広い層が競艇に興味を持つきっかけにもなっています。力だけでなく、頭脳や心理戦が重要となるのが競艇の特徴です。
競艇の歴史と現代の展開

競艇は戦後日本の復興期に誕生し、長い歴史を持つスポーツです。その歩みを振り返りつつ、現代の展開や名称変更についても見ていきます。
競艇の誕生から発展までの歴史
競艇は1952年に大村市(長崎県)で初めて開催されました。戦後の復興資金を集めるため、公営競技として誕生したのが始まりです。
その後、全国各地にレース場が増え、テレビ放映や新聞での特集も始まりました。1970年代には全国的な人気競技として定着し、昭和から平成にかけて多くのファンを魅了してきました。現在では24か所のレース場があり、年間を通じてさまざまな大会が開催されています。
ボートレースへの名称変更の理由
「競艇」から「ボートレース」への名称変更は、イメージアップと新たなファン層の獲得が主な理由です。従来の競技イメージから脱却し、親しみやすさやスポーツ性を前面に出すために、主催団体が積極的に変更を進めました。
特に若い世代や女性のファンを増やすため、テレビCMやイベントでも「ボートレース」という表現が多用されています。これにより、従来のファンに加えて新しい層にも受け入れられやすくなりました。
競艇が今も人気を集める理由
競艇が根強い人気を持ち続けているのは、スリルある水上レースと、予想のしやすさに理由があります。6艇という少人数制や、スピード感あふれる展開が観戦する楽しさを高めています。
また、舟券の多様な買い方やインターネット投票の普及で、誰でも気軽に楽しめるようになりました。女性や若年層のファンも増加しており、家族連れでレース場を訪れる姿も多く見られます。こうした時代に合わせた工夫が、今も多くの人を惹きつけています。
まとめ:競艇とボートレースの違いを知って楽しみ方を広げよう
競艇とボートレースは呼び名に違いこそありますが、どちらも水上で繰り広げられる迫力満点のスポーツです。ルールや歴史、選手の舞台裏を知ることで、観戦や舟券の楽しみ方がより広がります。
これから競艇に興味を持つ方も、まずは基本を押さえたうえで、自分なりの楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。